アメリカの生活

「あなたの部屋」

アメリカの友人から、建築中の部屋の写真が送られてきました。
そこには、
「あなたの部屋」
と、メッセージが添えてありました。

この友人夫妻と出会ったのは、そう、もう20年も前のことです。
その年、彼らはGIGのホームステイグループの女の子を、はじめてホストすることになっていました。しかし女の子のご両親は、ホストの情報を見て不安になりました。二人がまだとても若いこと、そしてその子が苦手な大型犬を2匹飼っていたからです。私は彼らにメールをして、ご両親の心配していることを伝えました。

すぐに、彼らの生活の様子を丁寧に説明した、長いメールが送られてきました。
二人がホストになることをとても楽しみにしていること、生徒の到着を祈りながら待っていることが記されていました。そして犬の写真、家の写真、夫妻の写真をたくさん送ってくれたのです。その細やかな対応を見たとき、この夫妻のもとにステイしたら、必ず素晴らしい体験ができるはずと確信し、そのように生徒にも伝えました。

思っていた通り、彼女はたくさんの愛を受け取って、最高の時間を過ごしました。そしてこの夫妻にとっても、彼女の存在は特別なものとなりました。ホームステイの期間が終わって私たちのグループを見送ったあと、腑抜けのようになってただただ二人で涙を流したのだと、今でも笑って話してくれます。

このあと二人はGIGの学生を短期、長期で何度もホストしてくれて、いつからか夏のホームステイをする度に、私をホストしてくれるようになりました。プログラムにも深く関わってくれるようになり、この夫妻の存在がなければ、20年以上もホームステイツアーを続けてくることは、できなかっただろうと思います。

自宅を開き、家族でもない相手に部屋を提供する。部屋だけでなく、時間を共有し、自分の心にその人のための部屋をつくる。
これが、私がアメリカで見てきたホストファミリーの姿です。
「あなたの部屋」を、喜んで用意してくれる。
彼らを通して、他の人を自分の人生に招き入れる心を学ばされています。
完成した友人宅の「わたしの部屋」にステイできる日を、今から楽しみにしています。

(霜)