アメリカツアーの引率に加え、地方に母が住んでいることもあって、私は比較的よく飛行機を利用します。
その際、非常口座席に座ることがよくあります。前席との間が少しゆったりしていて快適ですが、緊急脱出の際には援助をしなければなりません。また、離着陸時は足元やひざの上に手荷物を置くことができないなど、少し不便な点もあります。
先日、窓側の非常口座席に座っていると、高校生ぐらいの女の子二人が、隣の座席にやってきました。重そうな荷物を頭上の棚に二人で押し込み、着席するとすぐ、CAさんから、「ジャケットを膝の上にお持ちいただくことはできません」と言われてアタフタ。離陸前の確認の際に、スマホを見ながらキャッキャと笑っていると、「電波を発する電子機器は使用できませんので」と、また言われてオロオロ。離陸後、急に静かになったな、と横を見ると爆睡中。
「まるでツアー中のうちの学生たちみたい……」と、思わず微笑んでしまいました。
ほどなく、飛行機は目的地の空港に着陸しました。窓側に座っていたので、「棚から荷物を出すの遅くなりそうだな」と、そのまま座席についていると、
「こちらの荷物でよかったですか?このジャケットもそうですか?」
と、隣の子が頭上の棚から私の荷物も取ってくれました。
「わあ、重いのにごめんね、ありがとう。」
そういいながら、あまりにも自然に私の荷物を取り出してくれた、彼女たちの行為に深く感動していました。
これまで、国際線を利用した際に、隣に座っていた長身のジェントルマンが、「荷物とりましょうか」と声をかけてくれたことはありましたが、国内線でこのような体験をした記憶は、ほとんどありませんでした。
小さな行為かもしれませんが、なかなか出来ないことだなと感心しました。
そして、「わたしも、同じことを次回機内でしたいな……」
そう思いながら、爽やかな気持ちでタラップを降りました。
(霜)