スタッフブログ by Tomoko Shimo
大学主催の研修旅行で、アメリカに学生を送り出す際、必ず事前学習の時を持ちます。日米の文化比較や価値観の違いなどを学ぶのですが、クリスチャンの信仰と生活についても分かち合います。
私たちが提供するプログラムでは、参加者全員がクリスチャンファミリーのもとホームステイをするからです。
その学びの中で、いつも取り上げ、ディスカッションをするトピックに
「アーミッシュの赦し」があります。
2006年10月、ペンシルベニア州ランカスターにあるアーミッシュの学校に
30代のアーミッシュではない白人男性が侵入し、女子児童10名を次々と銃で撃ち、5名が死亡、5名が重傷を負うという悲惨な事件が起こりました。
アーミッシュとは、電気もガスも車も使わず、自給自足の生活をする保守的なクリスチャンの一派です。なだらかな丘陵をバギーに乗って移動するアーミッシュの姿は、のどかな美しいランカスターの風景の一部になっています。
平和な静かな暮らしを好むアーミッシュコミュニティを突如襲ったこの事件は、全米の注目を浴びました。そして、この事件の悲惨さ以上に人々を驚かせたのが、アーミッシュが犯人の家族に示した赦しでした。
犯人の男はその場で自殺したのですが、混乱し打ちひしがれる彼の両親のもとを、事件当日の晩に複数のアーミッシュが訪れ、「私たちはあなたたちを赦していますよ」と伝えたというのです。また、犯人の葬儀には多くのアーミッシュが参列し、メディアの目に晒されることないよう、盾となって遺族を守ってくれたのです。
犯人の母、テリーは敬虔なクリスチャンでした。彼女は事件後、負傷した女の子たちを毎週見舞い、多くの時間をアーミッシュの人たちと過ごしました。”Forgiven(赦されて)”という本の中で、彼女はアーミッシュが示してくれた赦しを通して、それまで知らなかった神の愛を体験したと記しています。なんとかしがみついて生き延びるだけの人生になって当然だったにもかかわらず、嵐の後に美しい虹を見る恵みを、神様が与えてくださったと……。
ツアーを通して、若者たちには自分とは違った考えや価値観を持った人々と出会い、心で多くを感じて欲しいと願っています。